辻宮の服を引っ張って引き止めることしか出来なかった。




それでもあたしには少しだけの第一歩。




言葉の裏側に隠した期待を言葉にするための。




「・・・行かないでよ。『大丈夫』じゃないから」




声を絞り出すように伝えた。




そう。辻宮は今もきっとあたしの期待を分かってくれてる。




でもその期待を伝える術を彼はあたしに期待してるんだ。




だからあたしは期待に応えなきゃ。
辻宮の『期待はずれ』にはなりたくない。


一歩踏み出すんだ。