「お母さん」 「あら、めずらしい。出かけたんじゃなかったの?」 「ちょっとね。それより、あたしがここの娘だってことは秘密だからね」 「はい?」 うちに戻るとあたしは台所でそうめんをゆでて昼ごはんの用意をしているお母さんに叫ぶようにして言った。 お母さんは目を丸くしてる。 日曜日にあたしが家にいるのなんてペンギンが街を歩いてるくらいめずらしいもんね。 隣の部屋でくつろいでいた中学1年の弟の依智も何でいるんだよとやってきた。