「そちらの娘さん。お経に興味があるのかの?」



「え?あ、は、はい」



「ほう。若い娘さんにしては感心じゃ。
うちにも孫がいるが
ほんとにバカ孫でのう。
家の手伝いはせん。
帰ってくるのは遅い。勉強はせん。
あげくには化粧は濃いし、
いいところまるでなしじゃ。
まったくあんたさんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいのう」



「・・・そ、そうなんですか。あ、私、お手洗いをお借りしたいのですが・・・」



「場所はおわかりじゃろ?」




そう言ってにやっと笑う。

あたしに合わせてくれたかと思えば何なの。



あたしは軽く苦笑いを浮かべ席を立った。