音楽室は幸い誰もいない。

よかった。


央は無言のままあたしの手を引いてピアノの椅子に座った。あたしも隣に座る。

「央、ごめんね」

彼の髪をそっと撫でる。こうやってされるのが大好きなんだよね。

「・・・辻宮は今までの男子と違う気がしたんだ。というか未彩が違う感じがした。だから・・・」

「うんうん。大丈夫。ちゃんとわかったよ」

ほら。やっぱりそうだったんだ。不安になったんだよね。

今から央の大好きな歌を弾くよ。一緒に歌おう。




『あたしがお母さんの代わりになる。一緒に歌歌おう』