「すき」だらけ




「俺の家族、なんかほんと家族っていう感じじゃなくて、俺はあそこで一人暮らししてんだ。親はどこにいるかも知らねー。でもお前の家に行って家族の温かさ知って最初はやっぱ反発心ってのもあったけどそんなのも段々なくなってきてさ。土日はお前の家に入り浸ってた」



入り浸ってた?
お前の家?あたしは駆け足で辻宮の前に行く。



「・・・もしかして辻宮、あそこがあたしの家だって知ってたの?」



「・・・ああ。いつもお前のことはうわさに聞いてたよ。すごい孫がいるってな」



あたしの言葉に視線を合わせて少しはにかんで笑った。



すごく優しそうに。あの写真のように。