ちーちゃんは、よく顔かおって言うけど、あたしは顔なんていいと思う。

誠実で、優しくて、なんかこう…、性格が良いって言ったら、簡単だけど、そんな感じ。

ただ本当にいい人だったらいいと思うの。


「あ、そういえば。来るときに見たことのない男の子と出会ったよ。それだったりして」


笑って言うと、ちーちゃんは“どんな顔だった?!”とすごい形相で聞いてきた。


「んー。って言ってもそんなに見てないんだよね〜」




ーーーーー……


いつもの登校路を歩いてると、2つの道が分かれてるところで、1人の男の子が立っていた。


…見たことない制服だな。


男の子は、きょろきょろして、手に持っていた紙を何度も見ては顔をあげている。


道がわかんないのかな。
この辺の人じゃないの?

あたしは恐る恐る声をかけた。


「道に迷ったんですか?」


ーーー思えば、この時からが始まりだった。