「おっはよー、マキ!」

パシンッと背中を叩かれ、少し痛い。

「おはよ、ちーちゃん」

「あ、ねぇねぇ知ってる?今日転校生くるんだって!しかも男!」

ちーちゃんの話はいつも突然だ。

「そうなんだ?」

「イケメンだといいなぁ〜。」

「なにがイケメン?」

後ろからぬっと現れた男。

「うわぁっ、びっくりした。」

「急に後ろから出てこないでよね、啓介。驚くじゃん。」

そのままちーちゃんの隣に並ぶ。

「ちー全然驚いてねぇじゃん。マキ、うわぁは驚きすぎだろ、おばけか俺は。」

「啓ちゃんいつも突然すぎなんだよ」

私、怖がりというかビビリというか…、とにかくすぐ驚いちゃうんだから。


「そうかぁ?それより、ちーが今日は先に行ったから、二度寝して寝坊するかと思った」


「別に一緒行く約束してないじゃん。二度寝するほうが悪いんだし」


ちーちゃんと啓ちゃんは幼なじみで、家が近所にあるみたいだ。

そして、啓ちゃんはちーちゃんに片思いしてる。
わりとわかりやすく。
全然相手にされてないみたいに見えるけど…。


でも、無自覚なだけだと思うんだよね、ちーちゃん。見てたらわかるよ、その人のことを大切に思ってるかどうかなんて。


ま、言わないけど。