段々さぁ、男の体が女になってくんだよ。

その過程がさ、両性具有の状態になってあんまり綺麗でさ。そのまま改造を止める奴もいるんだけどさ、ただそうすると、遺伝子異常で幻覚とか幻聴が聞こえる様になってさ。

気が狂ってみんな自殺するんだ。

まぁ、完全に異性になっても狂っちゃうんだけどね……――


角質が乾いて固くなったような肉厚の手が、黒いエナメル室のパンツに包まれた足を撫でている。

醜く肥さばらえた、顔ばっかり脂ぎった男は服越しに僕の体を撫で回し、その行為に慣れてはいたが疾うに辟易している僕は、最早可愛らしい反応等してやらない。

抵抗しない僕に(当たり前だ、僕は人形なのだから)男の手が、燕尾服を模した様な裾の長いシャツの下に潜り込んで来たから、その手を軽く叩いてやった。

「マスター、それ以上は。」

可愛い子ぶりっこして、たおやかな中に戸惑いを浮かべてみせる。

「あ、あァ、ごめんねごめんね」

我に返ったらしい男は、エスカレーションした性欲のまま、勢いづいて暑苦しく謝る。

「……いえ。ごめんなさい、お店の決まりだから。」

僕は素っ気なく首を横に振った。