ずっと大好きな人だけを
見つめていられたのなら
幸せだったのかな?


きっと
今とはちがう
未来があったのかもしれない…





「 舞優!! 」



一人歩く
学校の帰り道

車道から私の名前を呼ぶ姉の声



「 これから家に帰るところだけど
舞優も乗っていかない? 」



姉の言葉に
私は重いバッグを胸に抱いて
運転しているのが
誰なのかも気にもしないで車に乗った。



「 舞優!
こちら私の彼…
藤也くんだよ。 」



ミラー越しに私をみた
姉の彼氏さんは
私にニコッと微笑んで



「 舞優ちゃん、
はじめまして。
お姉ちゃんに似て
ホントかわいいね
ヨロシクね。 」



彼氏さんのニコッとした微笑みに
私は何故かゾクッとする感じがした。


今思えば
この瞬間から
何かのスイッチが入ったのかもしれない。


私の時計が
私の思っていることと
違う方向に回りだしたような
不思議な感じになっていた。


二人の会話を後ろで
聞きたくもないけど
聞いていた。


そこでわかったのは
私の知らないところで家に
何度もきていること…

家族でもないのに
チャイム鳴らさずに入ってきていること


姉は楽しそうに
私に聞かせるように会話をしていた。
でも
私は一言も会話をしないで
窓の外をみていた。