それから1ヶ月くらいが経って桜も散り終わって緑の葉を付け始めた。
あれから佐渡君とは喋っていない。
私が怒って逃げ出したから…
もう、今日にでも別れるって言われそう。
ていうか、自然消滅って奴で別れてるのかな?
そんなことを考えてるだけで涙が出そうになる。
その時見たことのある人が目の前に立った。
「優衣、話がある。」
それはずっと待っていた人、佐渡君だった。
「話…?」
そっか…
別れ話かな。
もう形から別れちゃうんだね。
「着いてきて…。あんまり人に聞かれたくないから。」
「…うん。」
目は見れずにやっとの思いで言った言葉は素っ気ないものだった。
そして意外とあっという間に人気のない連絡階段に着いた。
ドスっと腰を下ろした佐渡君につられて私も座った。
そしてしばらくの沈黙が流れた後重々しく口を開いた佐渡君。
「優衣、あのさ、」
それは反射的だった。
「いや!」
「優衣?」
佐渡君はびっくりした顔でいきなり立ち上がった私を見上げてきた。
「別れるなんて言わないで!佐渡君のことが好き…ずっと好きなの…」
「優衣、良かったよ。」
え?
佐渡君はゆっくりと私を抱きしめた。
「佐渡君?」
なんで抱きしめたりするの?
また期待しちゃうじゃん。
「優衣がまだ俺のこと好きで良かった。…別れるなんて思ってないから。」
「どういうこと?」
私はまだ佐渡君のことわかってない。
でも、知りたいの。
…好きだから。