【5P】コスモス



付き合って二週間が経ったある日のことだった。


渡り廊下で佐渡君と話していた時―



「もう、二週間経つのか…」


「そうだねー、…ねえ。」



私は佐渡君の何かに気づいた。


「どうした…?」



佐渡君は虚ろな目を向けて慌てて笑った。

そして、また外の桜の木に目を向ける。

おかしいよ…


「おかしいよ…」



「何が?どうした…?」



「なんで…」



私はこの後の言葉を言ったら駄目だったのかもしれない。



でも…

言っちゃったんだ。


「何で泣きそうな顔してるの…?」


「…え?」



佐渡君はハッとした顔で外の桜の木から私へと瞳を移した。


そして、しばらくの沈黙が流れる。


重々しくて辛くて…

その沈黙を最初に破ったのは佐渡君だった。


「なあ、俺らが付き合ってること誰かに言った?」


突然の質問だったけど私は意外と冷静沈着に答えていた。


「話してないよ。」


「そっか…、あのさ、これからも話さないで欲しい。」



えっ…?


何で、何でそんなこと言うの?


私が佐渡君と釣り合わないから?


可愛くないから?


どうして?



「な、んで…?」



何故か涙が出そうになってきた。



「…それは、」



佐渡君も辛そうに目を伏せた。



「それは、今は言えない。」



何で…?

何で言えないの?



「もう、佐渡君なんて知らない!」



私は全速力で渡り廊下を後にした。