「げほっごほっ」



最悪だ


学校へ来て約15分
さっそく咳が止まりません



わたし、伊那八高校1年2組 冬野 朔深(ふゆの さくみ)
きのうの夜から風邪気味です


なんとか一時間眼の数学には出たものの
咳の音が教室になん分かおきに木霊する
てか鼻すする音いれたらほぼ何秒かおきに
何かしらの音を出してるぞわたし


あーだめだ



わたしは授業終了と同時に前の席の
守崎 毬杏(もりさき まりあ)に話しかけると


「なに?保健室いくん?いってらー」


と、なにも言わなくても察してくれた
さすが11年も一緒にいるとこうもなるか(笑)


そしてわたしは3階の教室から1階の保健室へ向かう


【在室中】

うん、看板には書いてある在室中って
でも、いないね先生


ちくしょう
なんのためにあるんだよあの看板


いいや2時間目はここで寝てよ
保健室の扉は開いてるし









――――――――――――――――――――



キーンコーンカーンコーン



「んぁ?」


2時間目終わったか…
先生はいっこうに来ないし


よし、ダルいし帰ろ。


いっかい3階の教室戻ってっと
スクバを準備して

2時間目の英語の先生がまだ教室にいたので先生に帰ることを告げると
「保健の先生にちゃんと伝えなさい。」と、もう一度保健室に行き、いなかったら職員室にも探しにいくようにと言われてしぶしぶまた保健室へ


かったるー
とりまスクバをもって保健室の扉の前

【在室中】

わたしはもうこの看板をあてにはしない。
どうせいないんだろちくしょー!


がらがらがらっ



いた。


人は、いた。







でも先生じゃない









そこにいたのは一人の男子生徒だった。


くるくる回る椅子に座って一人で保健室のストーブにあたっている



2年生の、センパイだ




ここで余談だがここの制服の説明をしておこう

女子は膝上5~7㎝の赤黒チェックのプリーツスカートに白のブラウス、スカートと同じ柄のリボンに紺のブレザー。
黒の靴下かタイツに学校指定の上履きという名の健康サンダルのようなスリッパ

女子にたいして男子はかなりシンプルなもので黒の学ランに黒の靴下に女子と同じく健康サンダルのようなスリッパ。



このスリッパの上についてる布は学年によって色が違う。
毎年ローテーションらしいがわたしの年は紺のような青。一個上は緑。二個上は赤。



だからわたしは保健室にいたセンパイの学年がわかったのである(`・ω・´)


センパイの髪色は黒でちょっと前髪を長くしていてなかなかにかっこいい


ちなみにわたしは茶色かかった黒(染めてないよ地毛だよ)でセミロングで毛先が少しくるんとしている




とかそんなことを考えながらセンパイと目があったまま直立不動。


センパイが「どうぞ(笑)」って言ってくれるまでそのままだった



「どうしたの?えらいん?」



センパイが優しくわたしに聞いてきた


いまは授業と授業の間の10分休憩だから
この人がサボりなのか保健委員なのかはわからない



「はい、少しだるいんで休ませてもらおうかと」




ってわたしはなに言ってんだぁぁぁぁ!!!

帰るんだろうが!職員室に先生探しに言って帰るんだろーが!


「そっか、じゃここ座ったら?あ、それともベッドで寝る?」



最初は自分のとなりにある椅子を指したがすぐに気を遣ってか奥にあるベッドを指した

でも、


「いえ、ここがいいです」

そう言ってセンパイの隣の椅子に座る



「そっか、」

そう言って笑顔になるセンパイ…







キュン




「スリッパ青ってことは…1年?」



「はい、そうです」



「へーなん組?」



「2組です」




「おぉ、俺も1年のとき2組だった(笑)」





とか、こんな会話をして50分




がらがらがら


保健室の先生が帰ってきた


「あら、齋藤くんどうしたの?またサボり?」


「いやーほんとは3時間目から出ようと思ったんスけどかわいい後輩ちゃんが来てくれたもんだから話してたら楽しくなっちゃって(笑)」





「かわいい後輩ちゃん…て冬野さん?どしたの?」




「いえ、ダルいんで帰ろうと思って」



「あら、だったら先生職員室にいたからよんでくれればいいのに~でもなんでスクバ持ったまま保健室?(笑)」




どきっ


やば
これじゃあセンパイが気になって保健室に滞在したことばれる…

が、


「もしかして俺のせい!?俺が話に付き合わせたから!?やば、まじごめん!」



こんなことを言い出すもんだから大慌て



「ちがいますよ!センパイのせいじゃないです!」



わたしは少し大きな声で言った




するとセンパイは少し考えたような素振りを見せたあとにニカッと笑って言った



「そっか!俺は齋藤臣(さいとう おみ)!ばいばい、後輩ちゃん!」





それを聞いてわたしもにっこり笑って言った




「冬野朔深!さよならです!センパイ!」









「あらあら、結局冬野さん何しに保健室来たの?」










「ちょっと気になって!」







何が気になったかは秘密