お兄さんの写真を見て、柔らかく微笑むなかがわ君の顔は、やはりどこか見覚えがあった。



屋上にお兄さんが来て先に待っていたあたしを見つけたとき、

お兄さんに頼んでカメラを覗かせてもらったとき、

病室に戻るあたしを見送ってくれるとき、

いつもお兄さんはこんな顔で笑いかけてくれた。




「似てるね。」



あたしはいつもそんなお兄さんの笑顔に胸をときめかせていたんだよ。



「似てないですよ。」

「んーや。似てるよ。お兄さん大好きだったあたしが言うんだから間違いない。」



少なくとも今の君の笑顔にときめいてるあたしが居るもの。


「そういってもらえると嬉しいです。」



ほら、また。鳴った。