――― あのときの写真は今も大事に持ち歩いてる。 あたしの宝物。 あのあと、お父さんとお母さんに無理を言って、あたし専用のカメラを買ってもらった。 そして、毎日写真を撮った。 お兄さんと同じように。毎日毎日。 あたしは生きている、その証を撮り続けている。 それは退院した今もなお続く、あたしの生き甲斐となった。 「で、その貴公子の顔はいつになったら見せてくれるんだい?」 「何回も言ってるように、お見せできません。」 あれはあたしの大事な思い出。そうやすやすと見せますか。