ー伊織ー

「ーーー…っ!」

思いっきり飛び起きた男は辺りを見渡した。

俺、いつの間にか寝てたのか。

「えらい魘されてたけど大丈夫か?」

「え?俺、魘されてました?」

キョトンとする男の顔は18歳に
しては、まだ幼さが残る所謂、童顔が
首を傾げる。

そんな男に眉を下げて目を細めるだけで
返事を返さなかった。

その代わりにココアの入ったカップを
差し出した。

「ガキ扱いしないで下さいよ」

ココアなんてガキっぽいと唇を
尖らせた。

「体冷やしたらあかんから」

笑顔を向けると「ありがとうございます」と
小さい声で言うとカップを受け取った。