こんにちわ。こんばんわ。さようなら。

「たまには、ちゃんとしたもん食べな
あかんで」

「そうだね。気を付けます」

二人は、扉の鈴が鳴り目線を向ける。

きっちりと着こなす真っ黒なスーツの
痩せ男が立っている。

優しそうな顔立ちで申し訳無さそうに
扉の前にいる。

扉からは距離がある。
中に入ればいいのにと思う。

「春真さん、すみません。
車の中に忘れていたので…」

「あ、それは私が悪いね」

春真は男の肩をポンポンと叩いた。
そのまま出て行ってしまった。

スーツの男は、丁寧にお辞儀して春真の
後を追いかける。

静かになった店内は、ジャズの音楽だけが
流れている。

「いってきますぐらい言えや」