「藍咲羽音。よろしく」
「それだけか?」
「はい」
名前だけでも自己紹介だし。
「藍咲の席は窓側の一番後ろだ」
指定された席を見ると、残念なことに星宮くんの隣の席だった。
ついてなさすぎる。
歯向かってまた退学になると面倒なので今回は大人しく席に座った。
「羽音って呼んでええ?」
「好きにすれば?」
「ありがとやで」
「別に」
星宮くんは気軽に私に話しかけて、私を呼び捨てにすると言ってきた。
断る理由もなかったのでそのままOKしたけど。
「こいつ、俺の幼馴染みの蒼空っちゅーねん。仲良うしたってや?」
こいつと言われた星宮くんの前の席の男の子が私の方を向いて言う。
「天宮蒼空。よろしく」
「よろしく」

