「めっちゃ好きやねん。」

「何そのキーホルダー?」

そう、キーホルダー。
手作りみたいな感じで・・・
糸で出来ていて、
ちょっとほつれている。
人形みたいな感じ。

「ばあちゃんが作ってくれた」

「そんなに大切なん?」

「ああ。大切」

「なんで?」

「初対面の奴に話すことちゃう」

「ええやん、教えて」

「・・・もうばあちゃん、
天国いってしまったんよ。
これは、俺が小学生のとき
作ってもらって・・・。
ばあちゃんにはすげえ世話になったんよ」

「そうなんや・・・」

小学生のときか・・・
だからそんなに糸がほつれているんだ

私は鞄をガサゴソと探った。
・・・よし

「なあ」

「何?」

「糸、ほつれてるやろ?
直すで、裁縫道具持ってるから」

「まじ?ええの?」

「もちろん」

私はうなずいた
だって、すごく大切そうに
持っていたから・・・

「じゃ、直すね」

「よろしく」

チクチク・・・私は手縫いで
人形を直していく。

しばらく沈黙。

「なあ桜子」

「―っ!」

ドキッとした
いきなり呼び捨てで呼ばれたから。

「な、何?」

「何で裁縫道具なんか
持ってるん?」

「ああ・・・私、部活が
家庭科部だから」

「ぷっ・・・なんやその部活
聞いたことないわ」