「いってくるでー!」

バタバタと出た家からは
「いってらっしゃーい」という母の声が
聞こえてきた。

やばい!もう遅刻遅刻!
8時までには着席。
今は学校向かってる途中。
7時・・・57分?!

「まじあかんし・・・」

せっかくこの自慢の速い足で
駅向かったのに・・・

今本当は乗れた電車を逃してしまった。

もう・・・8時だ。
腰から力が抜けていき、ぺたんと
ホームのベンチに座った。

「あづーいー」

今は8月だ。セミがジリジリと
鳴いている。あーうるはーい。

「口の中寂しいな・・・」

なにしろ朝食はパン一口かじっただけ。
お腹すくのは当たり前。

鞄の中に急いで入れた
「いちごきゃんでぃー」を
思い出した。

「食べよかな・・・」

ごそごそと鞄から取り出す

取り出したキャンディーを
じーっと見つめた

「だめだよ、それは学校で食べよ!
学校で味わって食べよ!ね!」

「うーん、だよねえ。あかん、そーする」

って、何やってんだ私。
一人演技なんかしちゃって。

すべてはこの異常な暑さのせいだ。