「カナー?晩ごはんはー?」

「………」

いつもならバスで帰る距離を全力疾走で走ったら、恥ずかしさはだいぶ治まったけれど、普段運動とは程遠い生活をしていたせいか、心臓がバクバクする。

食欲なんて、全然湧かない。

ようやく落ち着いたかと思っても、彼の優しそうな目を思い出して、またバクバクする。

「~~~~~~っっ!!」

なんとも言えない。

なんだ、これ。

まともに話したわけじゃないのに、彼のあの一言が忘れられない。

『REDの鼻歌、うたってた?』

あの人もRED好きなのかな?

うちの制服だったけど、何年何組なんだろう?

そもそも、あの人、なんて名前?

疑問が疑問を呼んで、頭はパニック状態。


――――彼は、誰なんだろう?

私は、いつの間にか眠ってた。