なりたい自分のはじめ方。

図書館によって帰るから、と言ってミホとミホを迎えに来たたけしくんと別れた放課後。

いつものように借りていた本を返却して、次に借りる本を探す。

静かな館内に、吹奏楽部の練習する音と、解放感にあふれた笑い声が遠くから聴こえる。

私は、この時間の図書館が一番好きだ。

普通の休み時間と違って、タイムリミットが長いことはもちろんだけれど、なんてゆーか…

「…贅沢な時間だなぁ……」

ふふん、ふーんと小さく鼻歌を歌いながら慣れた館内を歩く。


この学校は、読書をとても重要視していて、蔵書数がとても多い。
司書の先生も話しやすくて、私にとっては癒しの空間だ。

私の最近のマイブームは恋愛小説だ。

主人公が、王子様みたいにかっこいいひとから愛の告白を受けるシーンなんて、自分のことを「好きだ」と言われてるみたいで、本当にどきどきする。

そんな本を読んだ後には、必ず考えるのだ。

私にも、王子様が現れますように。

その人が、私のことを好きになってくれますように…。


こんな地味な私に、王子様なんて不相応なことはわかってる
でも、考えることは誰にも止められない。

今日はどんな本を読もうかな、と現代小説コーナーの角を曲がる。



そこには、本の中から飛び出してきたような王子様が立っていた。