―奏― 君に捧げる愛の歌



「そして8年前の今日、俊は美香ちゃんにプロポーズをする為、指輪を買って待ち合わせ場所にいたんだ。
俊を見つけた美香ちゃんは、走って俊のところへ向かった。


その時だよ、車に跳ねられたのは・・・」





「うそ・・・・」



私は言葉をなくした。



美香さんは、俊の目の前で事故に遭ったのだ。





「それからだよ、俊があんな風になっちゃったのは。

歌うこともやめ、夢も諦めた。
誰かと深く関わることも避けた。

また失って、傷付きたくないんだろうな・・・

だから、正直驚いたよ。
俊が奏ちゃんを連れてきた時。
あいつが誰かと関わろうとするなんて、いままでなかったからな。」



そう言って、タケさんは私に優しい眼差しを向けた。