―奏― 君に捧げる愛の歌




俺は、5年前のあの日美香に渡すはずだった指輪を手に持っていた。



あれからずっと捨てることもできなかった――



この指輪を捨ててしまえば、
美香との思い出が全て消えてしまいそうな気がして・・・・

どうしても捨てられなかった。






でも、そろそろ美香を解放してやらなきゃいけないよな・・・・




俺は、ツリーの枝の先にそっと指輪をかけ、その場を去ろうとした――