―奏― 君に捧げる愛の歌



「ねぇ、俊は何で歌やめちゃったの?
あんなに上手なのに。」



私は、なるべく明るく聞こえるように切り出した。



「しつけぇな。
俺はもう歌わねぇって言ってんだろ。」



案の定、不機嫌になる俊。



「そんなこと言わずにさ、また歌えばいいじゃんっ!
俊だって本当は歌いたいんじゃないの?
だから、あの日・・・
ここで、あたしが俊と出逢った時歌ってたじゃん!!
私は、もう一度俊の歌が聴きたい!!」



「お前、本当しつけぇ・・・。
つ―か、何でそんなに俺に歌って欲しいんだよ!?」



「それは・・・
俊の声が好きだから・・・」



ガタンッ!!


俊は傍にあったゴミ箱を思い切り蹴った。