紅ほっぺ






「はい。」


「本当にありがとう!」



彼女の机に鞄を置くと、今朝だけでももう何度目かのお礼。



「いいえ。」



そう笑いかけて僕も自分の席に戻ろうとした。




「あっ、佐藤くん!」


「…ん?」



僕のYシャツを掴み呼び止めた彼女は、鞄から本を一冊取り出し僕に差し出した。




「…これ…」



「……?ん…?えっと…これ…は…」



「本当に面白い本だから…!佐藤くんにも読んで欲しいなぁって…。」



…友達には返さなくていいのか…?



少し困ったように笑い、ありがとう、と本を受け取った。



「うんっ!」


と笑顔で席に戻っていった彼女の背中を見送った後、その本の表紙に目を移した。



『Gentle you』


…優しいあなた。



こんなタイトルの本、
僕に読ませるわけ…?




僕は周りにバレないように少しだけ笑った。