「いいから。ほら、貸して?」
「あぁっ…!」
ちょっと強引に引き受けた鞄は、思ったより重くてまた笑った。
「ゴメンねぇ…、重いよね…。」
申し訳なさそうに僕の顔を覗き込む。
その瞳に映る僕は果たしてどんな顔をしてるだろう。
きっとどれも偽りだろうな。
「全然。僕は男だからね。」
柔らかい微笑みをしてあげると、彼女もにっこり笑った。
「佐藤くんって本当に優しいね!ありがとう!」
…あぁ。参ったな。
そんな笑顔を僕に向けるな。
僕はどこも優しくなんかない。
全部自分のため。
君のためじゃない。
君が笑うと、ただ僕の胸が満たされるだけ。
でも同時にちょっと重くなる。
悪循環。
「…そう言えば、あれからどうなの?彼とは…」
…あぁ。
とっさにこんな会話を持ってきてしまう自分にも嫌気がさす。
「…へっ!?彼って…!まだ付き合ってる訳じゃないよう…///」
紅く俯くその一瞬だけ、僕は素の顔に戻れる。
「ははっ、本当に好きなんだね、その人の事。」
「……うん//」
「きっと叶うよ。田口さんなら。」
「……うん。」
