紅ほっぺ





向日葵がザワザワ揺れる。

一瞬時が止まったかと思った。







目の前に、息を切らしながら立つ僕の愛しい人。




「……えっ、え…?…あれ…?」




「…はぁっ…、はぁ…」





何でいるのさ…。




「…な、んで…」



「…あのねぇっっ!」


「へっ!?」





田口さんは怒ったようにズンズンこちらへと迫ってきた。


思わず2、3歩後退り。





「…気付いてないでしょ…」



「…え?」




さっきの威勢はどこへやら、俯いて声を震わせ言った。






「…あなたの…っ、佐藤くんのその優しさに…、私がどれだけ辛い思いしてるか知らないでしょっ…!」




「……っ」




顔を上げ叫んだ彼女の瞳には、大粒の涙が溢れ落ちていた。




…ちょっと待って、
どういう事…?




「…田口さん、ちゃんと話してくんなきゃわかんないよ…。」



僕はクスッと笑って彼女の涙を指で拭った。


たちまち紅く染まる彼女の頬。

参った。
それどころじゃないけど襲いたい。




「…だからっ…ねっ、佐藤くんが…、"頑張れ"って言う度に胸が張り裂けそうになるの…っ」



「……」




「"きっと叶うよ"って…、もっと、もっと私を見てよっ…、」



「……」




「本だって佐藤くんが好きって言うからっ…、図書館通って…、今朝だってずっとクッキーの焼き方、練習して…っ。」




「……」