紅ほっぺ







―――



ザワザワザワ…


「……。」



君から手を引くと決めてから、まだ数時間。

こんなにも世界がつまらない。

ただの気持ちの話。


昼休みの食堂がやかましくて仕方ない。




「つーかさぁ佐藤。お前最近大丈夫か?」


「…大丈夫って…、何が。」



目の前に座る幼なじみが呆れたように尋ねてくる。



「最近のお前変だって。そろそろ頭おかしくなんじゃねぇの?」



「……だから、何の話だっての。」




「猫被りすぎ。見てらんないけど?」



「……。」




…やっぱ周りから見ても今の僕のキャラは不自然か…?



「…なんだっけ、花ちゃん?あの子に対して良い子ちゃん過ぎねぇ?正直疲れんだろ。」



「……。」




疲れる。
だいぶ。


でも自分でしてきた事だし、
もう…、止めるって決めたし…。




「もうね、良いのよ。俺は俺。昨日決めた。」



「ふぅ~ん…。」



そう。
"俺"は優しい人間じゃない。

















「佐藤くん…。どういう意味…?」




「…っ」



毎日浮かべる大好きな声。
思わぬ頭上からの登場で心臓が跳び跳ねた。




…あぁ、バレた。
壊れた。全部。





…いいんじゃんこれで。
丁度良かった。





「……。」


「佐藤くん…。私の事、嫌いなの…?」


「…」


「…疲れたって…、どうして…」



「…あのさ、これ。返すわ。」



「…へっ!?」




俺は昨日借りた本を田口さんの手の上にのせた。



「……」


「…俺さ。本、読まねぇんだわ。」