「……。」
"優しいあなた。
いつも自分より私で、
何よりも大事にしてくれる。
そんなあなたが大好きです。
あなたと出会ったのはある雨の日でした…。"
パタン。
プロローグを読み終える前に本を閉じた。
読みたくないよこんな本。
これを君は好きな奴に渡すのか。
僕に感想を聞きたいか。
…田口さんの好きな奴は優しい奴なのかな。
僕なんかとは違う、心から優しい人なのかな。
君が好きになるくらいだからな…。
ずっと考えないようにしてきたけど、
僕がこの優しい僕を演じ始めてから、
君との関係が何か少しでも変わっただろうか。
意味はあるだろうか。
『どうしたらいいかなぁ…。』
そんなもの僕が知りたい。
もうしんどい。
偽りを被った上、それを君に利用され、さらに傷つけられる。
こんな惨めな毎日……
もう終わりにしようかな。
ありのままの姿で君に触れてみたい。
今よりもっと色の黒い手かもしれないけれど、きっと今よりもっと綺麗な手なはずだ。
…はは。
僕が逃げ出しただけなんだけどね。
君は遠ざかって行くかな。
怖いな。
もうなんかね、どうでもいいんだ。
ごめんね。
本をそっと抱き締めると、僕は深い眠りに堕ちていった。
