家への距離が普段の倍に感じる。
無理をせず休むべきだったな…。
足取りが覚束ない。
ひときわ強い頭痛を感じて、一旦足を止める。
くそ……
あと少しなのに。
「あれ?奈美さん?」
「?」
後ろから名前を呼ばれ振り向けば、見覚えのある顔。
同じ高校の制服をきっちり身に纏ったコイツ。
確か……
「白石……?」
「あ、名前覚えててくれたんだ。嬉しいなぁ。って、奈美さん顔色悪いよ?具合悪い?」
白石が近付いて私の顔を覗く。
そんなにすぐ気付かれるほど、酷い顔色なのか?
「いや、平気だ。」
「え、でも……」
「大丈夫だと言って……」
途端に視界が大きく揺れた。
「奈美さん!?」
身体が傾いていくのが分かる。
ダメだ……。
限界だ……。
青い空を仰いで、私の意識は途絶えた。


