廊下を歩く足が浮いて感じる。
あー……ヤバいな。
朝より体調が悪化している気がする。
熱、上がってきてんのか?
「あ、山神先輩!あそこです!」
越川が指す先には風谷と数名の男子生徒。
それから男子生徒達に囲まれている女子生徒が二名。
「こぉら、風谷!お前らは一体何をやっているんだ?」
「げっ…山神……」
風谷をはじめ、男子生徒共は私を見るなり後退していく。
「毎度毎度懲りない奴らだ。そんなに私に構ってもらいたいのか?あ?」
「誰がてめーみたいな男女………あ、やべ」
「ほーう?どうやら私の指導が足りなかったようだな?」
パキッと指を鳴らせば、風谷たちは走り去っていった。
「ったく……。そこの二人、大丈夫だったか?」
「だ、大丈夫です!ありがとうございました!!先輩って格好いいですね!!」
格好いいって……
最近誰かに言われたな。
誰だったっけ?
あー…思考がまとまらん。
「……また何かあったら遠慮なく言ってくれ。」
「はい!ありがとうございました!!」
私は踵を返して足を進める。
これ、結構悪化してるな。
「越川、」
「はい?」
「すまないが、今日は帰る。」
「え?」
「今日の委員会は明日にずらすと伝えてくれ。」
「わ、分かりました。」
「じゃあな。」
私は越川と別れ、足早に学校から出る。
視界がぐらつく。
家までたどり着けるか?


