「まさか白石先輩を知らない人が居たなんて……」 「悪かったな。普段不良共しか相手にしないからな。ああいう優等生は逆に記憶にない。」 「……山神先輩らしいっすね。」 一人心地に納得する越川を尻目に、私は白石とは逆の方向に歩き出した。 「あ、ちょっと待ってくださいよぉ!」 「早くしろ。委員会が始まる。」 この時はまだ何の意識もしていなかった。 気にもせず、何の関わりもないと……。 私にとってとんでもない存在になるとも知らずに。