「おい、てめー生意気な目ぇしてんじゃねーよ!」
突然聞こえてきた怒鳴り声。
何だ?
一体どこから……
「別に俺、生意気な目したつもりないけど?」
「あ?その態度が生意気だって言ってんだろうが。」
声は前方斜めの路地裏から。
静かに近付いて、こっそりと様子を窺う。
他校の制服だな。
二人の男が一人を囲っているようだ。
囲われている奴の姿は見えないが、会話的に男であることは間違いない。
さてどうするか……。
絡まれている奴も男だからな…。
わざわざ私が出て行くまでもないと思う。
大体にして他校の生徒だしな。
けど、いけ好かないのも確かだ。
「もういいだろ?俺、アンタらの相手してられるほど暇じゃないんだけど。」
……火に油注いでどうすんだ。
「調子に乗ってんじゃねぇ!!」
男二人が同時に動く。
ああ、だから言ったこっちゃない!
「おい、お前ら止め――え?」
二人を止めようと路地裏へ入った瞬間、ドサッと足元に人が転がった。
足元に転がっているのは他校の制服を着た二人。
二人は慌てて立ち上がると、すぐに立ち去っていった。
心配損だったか。
ため息をついて、絡まれていた男の方へ目を向けた。
「――は?」
「――あ」
私と男の声が同時に重なる。


