それからは普通に授業を受けて、彼方の相手をして、山本の相手をして学校が終わった。


「よし、予備校行くか」

「そうだな」

彼方と学校をあとにする。

帰り際、教育実習生の先生の姿を見つけた。

あっちも俺を見つけたみたいで、小さく手を振った。
指が長く細い、綺麗な手だった。


俺はそれに視線だけ返して、学校を出た。


これから俺は、彼方と予備校に行って、帰ってご飯を食べながら母さんの今日の話を聞いて、お腹が落ち着いたらお風呂に入って、また自分の部屋で勉強をする予定だ。

それが毎日の通常であって、今から予定を立ててみても、そんな感じになりそうだった。


「倉吉ー」

誰かが、俺の名前を呼ぶまでは。