「え、めっちゃ久しぶりだよね!」

「高校近いの、すっかり忘れてたよ!」


あぁ、なんでこんなことに。

隣で彼方は、完全に顔がにやけている。

今、俺と彼方の前には女子2人。
しかも、中学校の同級生だった。


予備校帰りにいきなり声をかけられ、すぐ近くのファミレスに強制連行された俺と、楽しそうにノリノリで付いてきた彼方。

お前こういう外見に弱いな。


「てか倉吉カッコ良くなったよね?」

化粧でつくられた顔で、目をバサバサさせながら話しかけるこいつは、多分クラスメートだったはず。

「そんな事ないない」

軽く笑いながら受け流す。


「そうなんだよな。
こいつ、入学と同時に背がどんどん伸びて俺を抜かしやがったんだよ。
俺の方が長かったのにな(笑)」

俺の頭を叩きながら、彼方が笑う。

…3センチしか変わらねーだろ。
しかも身長の話してないし。


「彼方くんウケる(笑)」

ポテトをつまみながら笑うこいつも、まばたきする度に風がふいているに違いない。
つけまつげがすごすぎて、目を見る勇気が出なかった。