「見て、お母さん! あそこも桜が咲いてるよ!」 私は飛行機の中から見える山々を見ながらそうお母さんに話しかける。 3月下旬。 山はまだ蒼いところが大半だけど所々桜が咲いててピンク色になっていた。 「桜子!あんたが桜好きなのは知ってるけどそんなにはしゃがないの! 飛行機から落っこちちゃうわよ」 「げっ!それは困る…」 お母さんに半分冗談混じりで忠告された私は窓側に乗り出していた身体をさっと元の場所に戻す。