一週間ほどして、作戦は立て終わった。

あたしと陸は、あの男の新居であるマンションの一室に奇襲をかけた。
殺そうとした男に会いに行くというのに、あたしの格好は無防備にもキャミソールと短パン、ミュール。
斬り付けられたら、きっとひとたまりも無いだろう。
武器も盾も、何も無いけれどあたしには陸が居る。
握った手に力をこめると、大丈夫、とでもいいたげに彼もあたしの手を握り返してくれた。


目の前の男は怯えたような目であたしを見てきた。
手には、隠しているつもりだろうがチラチラと刃が見えてしまっている、あの時のジャックナイフ。


奥さんはどうやらあたしたちのことを知らないようだ。
事件のことも知らないのだろうか。
きょとん、とした顔でお茶を出してくれた。

男の格好は長袖長ズボンでちゃっかり革靴まで履いた、完全防備。



だけど、心の強さはあたしのほうが勝っていた。
この人は恐れている。
真っ向から勝負すれば、負けるから。世間から、卑しい目で見られるから。
異常と見られることをこの人は恐れていた。