夢の欠片

それから二ヶ月が経った。陽菜のお母さんが学校側にいじめを訴えたらしく、そのおかげで異例のクラス替えが行われることになった。


ただ、陽菜はいじめグループから離れることができたけど、私はそうならなかった。


だから、陽菜のいじめは終わり、私だけが目標となった。


いじめは次第にエスカレートしていった。給食にカメムシを入れられたり、朝登校すると机が唾の白い泡だらけになっていたりした。


もう辛くて、こんな日々がずっと続くんだと思うと胸が苦しくて、私はある決意をした。


お母さんに話しても転校、何も変わらない。だから、家出しよう。そう誓った。


私はある日、陽菜を呼び出してこのことを伝えた。


「私ね、家出することにした。陽菜にだけは伝えておきたくて……」


「え……」


「もう私のことは忘れて? 捜さなくていいからさ。もう、いいから」


それから、私は全速力で走り出した。決して後ろを振り向かずに走り続けた。もし振り向いたら戻りたくなりそうだったから……絶対に振り向かなかった。


それから、私は孤独になった。