突然現れた王子



「ケイタ、眼鏡似合ってる!」

「そう?
じゃあかけて行こうかな」


ケイタ自身も眼鏡を気に入ったようで、

満足そうな笑みがこぼれていた。


「よし!
じゃあ出掛けるか!」

「うん!」


あたしたちは元気よく『行ってきまーす!』と声をかけて、家を出た。


向かうのは電車で15分ほどの、少し大きな街。

若者が集まると言われている街だ。

ここならケイタの気に入る服もあると思ったから。


けれど、休日ということで当然人も多い。

この人の多さが、気持ちの変化に繋がるなんて、

この時はまだ思ってもいなかった。