ケイタがあたしの部屋に現れてから、
3日が経った。


学校から帰るとケイタが『おかえり』と言う。

それにあたしは『ただいま』と答える。

それが当たり前になりつつある。


それほどケイタは、あたしの家族に馴染んでいた。

5人家族の光景が、
不自然なくそこにあった。


「アユ、今日教科書忘れてっただろ?」


母親の手伝いをしながらケイタは問いかけた。


「うん。現代文の教科書忘れちゃった」