その時、ケイタが口を開いた。


「俺さ、来たのがこの家で良かった」

「え?」

「アユんちで良かった」


そう言ったケイタの顔は、暗闇でよく分からなかったけれど、

微笑んでいたように思えた。


「家族みんないい人で、すっげーあったかくてさ!
自然に笑顔になれる」


そう思ってくれてたんだ。


あたしは嬉しくて泣きそうなのを、笑顔で隠した。


「ありがと、ケイタ」

「ん。じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」


あたしたちはそれぞれ眠りについた。