突然現れた王子



「あっ! そういえば!」

「?」


あたしは思い出したようにクローゼットを漁り始めた。


「あったあった。はい」

「…帽子?」


あたしがケイタに手渡したのは、キャップ型の帽子。


「光から借りたままだったんだよねー。
ケイタ使いなよ」

「光って?」

「従兄弟!
服借りたのも光だよ」


ケイタは『ふぅん』と言いながら帽子を眺めた。

試しにかぶってみると、似合っていて安心した。


「じゃああたし、光にベルト借りてくる」

「分かった」