突然現れた王子



ケイタは不思議そうに首を傾げた。


「さっきお母さんに話したら、お金くれるから日曜に服買ってこいって」

「えっ!? そんな悪いし!」

「気にしないで。お母さんってば、ケイタのこと気に入っちゃったからさぁ」

「でも…」

「いいのいいの!
お母さんがいいって言ってるんだから。
ねっ?」


あたしがそう言うと、ケイタは納得のいかない顔をしたけれど、

次の瞬間、笑顔で『ありがとう』と言った。


「でもケイタ、街中歩いても大丈夫かなぁ?」

「なんで?」