突然現れた王子



「とりあえず履いてみなよ。ぴったりかもしれないじゃん」

「そうだな。
じゃあアユ、あっち向いてて」


言われた通り、あたしは後ろに向きを変えた。

背後から、ジーパンを履く音が聞こえてくる。


「アユー、もういいぞ」

「どう?」

「やっぱりでかい」


そう言ってジーパンのウエスト部分を引っ張るケイタ。

確かにまだ余裕があった。


「じゃあベルトも借りてこないとねぇ~…
それじゃあ休みに出掛けられないし」

「出掛ける?」