突然現れた王子



「なんでだよ?」

「なんでも!」

「はぁー……
お前今日そればっかだな」


理由を言わないあたしに、光は少し呆れていた。

それでも絶対に理由は言えない。


「別にうち来なくても、学校で会えるからいいじゃん」

「そういう問題じゃねーだろ」


はあ~っとため息をつく光。

光が納得いかない理由だって分かる。

それでも言えないんだもん。


「とにかく! 絶対来ないでね!
来たらもう光とは口きかないから!」

「はっ!?
おい! アユ!」


そう言って、あたしは半ば強引に部屋を飛び出した。