突然現れた王子



向かったのは、100m先にある従兄弟の家。

母親の妹宅だ。


「塔子ちゃーん」

「あらー? アユじゃない」


勝手に玄関を上がると、

伯母にあたる塔子ちゃんが夕飯の支度をしながら顔を出した。


塔子ちゃんは母親よりも7歳下の38歳。

見た目はまだまだ若い。


「光いる?」

「ああ、いるわよ。勝手に部屋行っちゃって」


塔子ちゃんの言葉を聞くと、あたしは階段を上がった。