突然現れた王子



あたしをずっと見ていたというケイタ。


あたしはそんなこと、全然気付かなかった。


雨の日の電車なんて、
すごい混んでるし、

大嫌いだった。


「いつの間にか、アユを好きになってて、電車に乗るのが楽しみになってたんだ」


そう言って、優しい目であたしを見るケイタ。


あたしは嬉しくてたまらなかった。

そんなに前から、あたしを想ってくれていたケイタ。