突然現れた王子



ケイタは優しく頷いた。


全然…知らなかった。

ケイタが同じ電車に乗ってるなんて。


「雨の日って、すげー電車混んでるじゃん?」


あたしは頷く。


「そんな時、おばあちゃんに席を譲るアユを見たんだ」


一年の頃、

開いてる席が見つからないおばあちゃんに、
席を譲ったことがあった。


「笑顔で席譲ってるアユ見て、いいなって思って。
それからアユをずっと見てた」