突然現れた王子



「アユ」


ケイタはあたしを離すと、あたしをまっすぐ見つめた。


「全部、話すな」


全部とは、ケイタがいなくなる前に思い出したこと。

どうしてケイタが、幽霊になったのか。

どうしてあたしの部屋にいたのか。


どうして今、ここにいるのか。


全てを話してくれるんだ。


あたしは近くにある椅子に座った。

その様子を見て、ケイタは口を開いた。