突然現れた王子



「夢じゃ…ないんだな」


ケイタが呟いた。


そう、

夢じゃない。


目の前のケイタは、幻なんかじゃないんだ。


ケイタはちゃんとここにいる。

あたしはケイタの腕の中にいるんだ。


嬉しくて、涙が溢れ出す。


ケイタの温もりが、すごく愛しくて。

ずっと触れたかった温もり。


今あたしは、その温もりの中にいる。